【2024年】V字モデルとは?ソフトウェア開発の役割とV字モデルを解説

システム開発における「Vモデル」とは何だろうか。プロジェクト経験のある企業で働いている人でも、理解している人はかなり少ないです。

本記事では、システム開発の専門家がマスターすべき「V字モデル」の基本的な知識を深く解説します。システム開発の工程にV字モデルを活用することで得られる品質面におけるメリットも含めて解説します。

1.V字モデルとは?V字モデルの基本的な知識

1-1.V字モデルとは?

V字モデルとは、開発工程とテスト工程の対応関係を表したV字のソフトウェア開発モデルです。このモデルは、開発工程とテスト工程をV字型曲線の2つの平行な分岐に整理し、それぞれの分岐がソフトウェア開発プロセスの段階を表しています。V字の左側が「開発工程」を、V字の右側が「テスト工程」を表します。

V字モデルは、システム開発の開始から終了までの流れを表したモデルです。ウォーターフォールが上流から下流へ流れるようなウォーターフォールモデルに対し、V字モデルは開発から後の作業を折り返したV字型をしています。V字モデルは、ウォーターフォールの進化版ともいえます。

V字モデルとは?V字モデルの基本的な知識
V字モデルとは?V字モデルの基本的な知識

1-2.V字モデルのメリット

V字モデルには大きなメリットがあります。その強みの一つは、開発工程とテスト工程が明確に対応していることです。これにより、ソフトウェア製品の品質を確保しながら、各フェーズでどのようなテストが実施されるかを簡単に追跡できるようになります。

開発工程とテスト工程の対応関係が明確でないと、テストによる品質確保が困難になる可能性があります。したがって、ソフトウェア開発における開発工程とテスト工程を明確にすることは、プロジェクトを成功に導くための重要なポイントです。
例えば、統合テストは、プログラムがその基本設計に従って動作することを検証すると同時に、異なるモジュールを組み合わせる際に、入力データに対して正しい値が返され、データが正しく連携されていることを検証するのに役立ちます。これは、ソフトウェアの正確性と一貫性を検証するのに役立ちます。

総合テストの段階に進むにつれて、パフォーマンスや負荷容量といった非機能要件がテスト及び検証されます。

V字のソフトウェア開発モデルのおかげで、どの段階で、どの部分を、どのレベルでテストする必要があるかが明確になり、テスト工程をより円滑かつ効率的に進めることができます。

>>> もっと見る: MVCモデルとは?MVCモデルの概念、メリット、デメリットをわかりやすく説明する

2. システム開発におけるV字モデルの工程

2-1.要件定義

システム開発V字モデルにおいて、要件定義は欠かせない重要なステップです。この工程は、お客様や商品企画者の要望を整理し、具体化するプロセスです。これにより、ソフトウェアの目的を明確にし、要件を正しく理解することができます。

システム開発におけるV字モデルの工程
システム開発におけるV字モデルの工程

2-2.基本設計

要件定義で決まった内容ができたら、基本設計の段階になります。ここでは、特定された要件を満たすために必要な機能や構成など、ソフトウェアの基本的な使い方をまとめます。 

基本設計では、要件をソフトウェアシステムとして実現可能な方法に変換します。このフェーズでは、機能の定義、データ処理の整理、ユーザーインターフェイスのレイアウト定義、必須なデータの明確化など、重要な決定が行われます。

統合テストは基本設計フェーズの重要な部分であり、各機能に組み立てられたモジュールが正しく組み合わされ、総合的なシステムを形成していることを検証します。

2-3.詳細設計

「詳細設計」の工程では、「単体テスト」に重点を置く必要があります。基本設計で決まった仕様をもとに、コーディングに必要な処理の詳細仕様を決定します。詳細設計の範囲は、機能やモジュールごとに定義されます。詳細設計書は、決定すべき問題を具体的な仕様として記述するために作成されます。

3. ソフトウェア開発におけるV字モデルの活用

3-1. V字モデルとウォーターフォール

V字のソフトウェア開発モデルは、ウォーターフォールの進化版であり、開発の工程に多くの共通点があります。ウォーターフォールモデルは多くの場合にシーケンシャルであるのに対し、V字モデルはテスト工程の改善に適用され、開発品質と効率の向上に役立ちます。

ソフトウェア開発におけるV字モデルの活用
ソフトウェア開発におけるV字モデルの活用

3-2.V字モデルとアジャイル手法

 アジャイルは、顧客の満足を最優先するソフトウェア開発手法です。アジャイルは小さなスプリントでうまく行き、要求の変化に柔軟な対応が可能であり、バグ修正にほとんど労力がかかりません。

アジャイルでは、「計画」→「設計」→「開発」→「テスト」のサイクルを短期間で繰り返しながら開発を進めます。V字モデルは、アジャイル開発における繰り返しの各サイクルで適用できます。

V字モデルとアジャイルの主な違いは、V字モデルではシステム全体をV字モデルで開発するのに対し、アジャイルでは個々の繰り返すサイクルにV字モデルで各機能を開発することです。しかし、どちらもV字モデルを活用して開発効率を高めています。

4.W字モデル:V字モデルの発展形

4-1.ソフトウェア開発におけるW字モデルとは?

W字モデルはV字モデルを改良・発展させたプロセスモデルであり、開発の工程とテストの工程の同時進行に重点を置いています。このモデルでは、開発作業の結果をテストするのはテストの工程だけでなく、開発の工程にもテストも行います。

例えば、V字モデルでは、基本設計は統合テストによってテストされますが、Wモデルでは、基本設計が終わった時点で、その設計書が要件定義で定義された要件に一致するかを検証します。これにより、設計の欠陥を早い段階で発見することができます。

Wモデルで、テストエンジニアは上流工程に関わり、設計や開発の工程にも参加する。

W字モデル:V字モデルの発展形
W字モデル:V字モデルの発展形

4-2.W字モデルのメリット

W字モデルには多くの利点があります。欠陥の早期発見を可能にし、開発と同時にテストを行うことで品質を向上させます。設計段階で設計の矛盾などの欠陥が発見された場合、開発を開始する前に修正できるため、時間とリソースを節約できます。

5.まとめ

本記事では、V字モデルについて解説しました。V字モデルは、システム開発の基本的な開発手法であり、テスト内容が明確になり、進捗管理がしやすいというメリットがあります。

また、V字モデルはウォーターフォールでもアジャイルの手法でも使うことができます。システム開発では、エンジニアが現在何をしているのか、それが後工程でどのようにつながっていくのかを理解しながら作業を進めることが非常に重要ですので、本記事の内容をしっかりと理解しておきましょう。

V字モデルのソフトウェア開発会社をお探しの方は、こちらをご覧ください。

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To Quang Duy(トー・クアン・ズイ)氏はベトナムの大手ソフトウェア開発会社であるNewwave SolutionsのCEOです。彼は卓越したテクノロジーコンサルタントとして認められています。LinkedInやTwitterで彼とつながりましょう。

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